Company`s Page 2

VOL.4 逆視点からの「芸術と経営」 アーティストによる経営を考える

これは具体的な話をする前の音楽ビジネスにおける心構えみたいなものです。まずは以下、経営の神様と呼ばれた松下幸之助の言葉を抜粋してみます。

「経営は生きた総合芸術であるといえる。もっとも、だからといって経営をもって他の芸術より高しとするのではない。芸術というものは人間の情操を豊かにし、人間精神を高めるきわめて尊いものであることはいうまでもない。ただ私が言いたいのは、経営もそれに匹敵する高い価値を持つものであるということである」

この文面からも分かる通り、松下幸之助は、経営者として畏敬を込め、芸術を「客観意識と当事者意識」の両側面から捉えることに成功しています。「客観的に芸術が人に与える影響の考慮」と「当事者的に自分の行いに芸術性を見出すこと」を理解することで自身の活動を成立させています。では、これをまったく逆視点にした場合、どうなるかを検証してみます。

「芸術は生きた総合経営であるといえる。もっとも、だからといって芸術をもって他の経営より高しとするのではない。経営というものは人間の情操を豊かにし、人間精神を高めるきわめて尊いものであることはいうまでもない。ただ私が言いたいのは、芸術もそれに匹敵する高い価値を持つものであるということである」

「芸術」と「経営」をそっくり入れ替えて文章にしてみました。この文章を読んだ時、松下幸之助の言葉ほど、シンプルに理解するのは難しいと思います。それはつまり思考としてスタンダード化していないことを示し、一つの大きな隔たりと発展途上の可能性があると考えられます。まずは、芸術家として畏敬を込め、経営を「客観意識と当事者意識」の両側面から捉え「客観的に経営が人に与える影響の考慮」と「当事者的に自分の行いに経営性を見出すこと」を理解するのが、音楽ビジネスにおけるもっとも基礎的な自身のスタート地点になるかと思います。