Company`s Page 2

VOL.5 ミュージシャン市場価格 価格に対する思考の改革

近年ミュージシャンの市場価格は著しく下落の道を辿っています。ミュージシャン数の増加による供給過多、パソコンなど代替機器の台頭による人件費削減と仕事数の減少、小規模ビジネス特有の利益一極集中など、理由はいろいろ考えられます。価格は利益を生む上で非常に重要ですが、それ以前に市場価格に対する概念についてミュージシャンが怠慢であるという理由も否めません。

市場価格がどのように決まっていくかを考えた場合、通貨との交換条件である以上、市場の判断材料は「社会貢献度、希少性、値打ち度(役立つ度合い)」になり、価格の正当性はあくまで市場の判断に委ねられます。しかし、ミュージシャンの中には「市場がミュージシャンの価値を軽視している」や「市場は音楽の価値観への理解が足りない」などを価格の下落や正当報酬の妨げの理由として捉えている人も少なくありません。

このような行為や思考は「社会的啓蒙活動」であり「ビジネス活動」とは決定的に違います。社会的な啓蒙による市場への影響も多少はありますが、その内容はある種の市場の罪悪感によるネガティブ影響であり、また上記した市場の判断材料とは異なるアプローチなので、根本的に価格上昇の決定的な動機とはなりません。

音楽を商材としてビジネスという盤上で扱う以上、その商材は市場の求める物であることは必須条件です。いくら市場を批判してみても、市場の判断材料は顧客を相手とした通貨交換というビジネスの性格上、筋が通っているので妥協の余地はありません。ミュージシャンという立場で音楽ビジネスに参入するならば、この論理の上でビジネス活動ができるようになることが必要になります。