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VOL.8 マルチタスクの重要性

マルチタスクとは、もともとはコンピュータ専門用語で複数のタスクを切り替えて実行するシステムのことを指します。ビジネスにおけるマルチタスクは「同時進行で複数の仕事を進める」「一人が複数の異なる仕事内容をこなす」という二つの意味合いがあります。マルチタスクは日本語で「多能工」、その対義語でシングルタスクは「単能工」と呼び、別名ではマルチスキルやシングルスキルとも言います。

ビジネスにおいて、シングルタスクで稼ぎ出すには、その仕事内容や技能に相当な希少価値や独自性があり、それによる圧倒的な対価が生み出されないと成立しません。かつて音楽演奏や音楽制作というのは、その希少価値や独自性によってビジネスが成立していた時代もあります。

しかし、音楽を演奏する環境、楽器・音源購入の低価格化、その他、様々な音楽環境の変化により、以前より音楽を冠にした商品、人材の供給量は圧倒的に増えています。この時代において、音楽演奏や音楽制作に宇宙開発や最先端医療などと同等の希少価値や独自性を見出すのは困難でしょう。よって、シングルタスクによる音楽ビジネスはすでに終焉を迎えたということになります。

そんな時代にあって、未だに音楽ビジネスにおける希少価値や独自性とそこから生み出される対価を理解せず、陳腐なプライドだけでシングルタスクにこだわり、音楽ビジネスを成立させようとすれば、対価不足により破綻します。マーケットにおける音楽の立ち位置と市場価格を真摯に受け止め、これからの音楽ビジネスは音楽を基本技能として、その他の付加価値を持つ人材が必要なのです。

私の音楽ビジネスにおける経験上で言うならジャンル問わず、マネージメント能力、経理能力、接客能力、時間管理能力は最低ラインとして必要です。「一人材の価値を高め、人件費を抑制し、一人材の対価を上げる」マルチタスクはプロミュージシャンの大前提として浸透すべきであると考えます。