Movie`s Page 3

中国からの贈り物
小さな留学生


2000年に放送されたドキュメンタリーシリーズ「中国からの贈り物」から第一弾「小さな留学生」です。中国の元女優で映画プロデューサーの張麗玲(ちょうれいれい)がハンディカムで記録した膨大な量の中国人留学生の姿を編集、シリーズ化して放送したものです。過去に見てきたドキュメンタリー番組の中で圧倒的な位置で私の心に残っている番組。自分に留学経験があるがゆえの共感、政治レベルで罵り合う日本と中国とはまったく別次元での人の直感から紡がれる日本と中国の関係、それまでに無い切り口で日中を表現した作品です。小学3年生の少女「張素(ちょうそ)」がお父さんの仕事の関係で日本にやってきます。日本語が全然できなく、途方に暮れる少女に全力で愛情を傾ける校長先生と担任の先生、中国からやってきた友達に親身に接する日本の子供たち、そしてそれに応えるかのように日本で成長していく張素の姿、全てが人間の本質的な助け合いが自然体で映し出されていて人の美しさを感じずにはいられません。番組中で印象的な言葉は「張素が日本に来て一年後、誰もが張素が外国人であることを忘れてしまっていた」という部分。政治ショーや経済ショーで言われる「グローバル・スタンダード」という言葉が陳腐に聞こえるほどの本当のグローバルがそこにありました。