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蜃気郎
西岸良平 著


西岸良平の中でも特にファンの間では秀逸な作品として知られる「蜃気郎」。怪盗・蜃気郎が主役のストーリーですが、西岸良平の得意スタイルであるスカしのストーリーが魅力です。怪盗物だとルパン三世や金田一耕助みたいな感じをイメージしますが、こちらは怪盗であることのストーリーはサイドの付け合わせ程度で本質的なストーリーは怪盗・蜃気郎に関わる人々が幸せになったり人生教訓を学んだりという幸福を得るといった内容です。本来シリアスであるはずの物が牧歌的にあったり、どこかコミカルであったり、という脚本技法は西岸良平の右に出る漫画家はいないでしょう。原作のみならず、絵のタッチも独特で、両者合わせてこれほど独創的な漫画家は西岸良平以外、思い付かないです。