わが青春のアルカディア
キャプテン・ハーロックの劇場版です。宇宙戦艦系アニメですが、内容はとことん「男の生き方」を語るアニメです。松本零士は基本、全ての作品でこの路線です。同じ「男」を語る系で車田正美がいますが、スタンスは全然違います。車田正美は武骨なまでの「男気」に対して、松本零士はジェントルに「男の美学」を語ります。さて作品の内容は、地球が異星人に侵略され、その配下で植民地として生きる道を選ぶ人類、その中でハーロックだけはそれに反抗、地球を追放されて海賊になるまでの話です。トチローとの先祖から繋がる奇妙な男の友情、女性を守るために選ぶ人生の選択など、大きな物語の中にいくつもの人間模様を織り込んでいます。まあ、とにかくハーロックがカッコ良すぎですね。松本零士の特徴ですが、主人公は、まったく隙がなくカッコイイのはどの作品にも共通します。武士道というよりも騎士道に近い発想だと思います。その証拠に最後、異星人司令官との一騎打ちの時にはサーベルを掲げ正々堂々と戦う意思表示をする場面があります。こういう笑い一切抜きで、とことん美学を追い求める作風は最近、無くなりましたね。そういう意味でも貴重な映画だと思います。